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2008年5月16日 (金)

エレベーター

私は殺し屋で、男を殺すためにエレベーターに乗っていた。

誰を殺すのか、それは思い出せないが、とにかく東京都庁のような建物で長い長いエレベーターに乗っていた。

私の隣には大男が立っていて、この男も同じターゲットを狙っている殺し屋であった。

私は、どうしようか迷っていた。

私は私の手で確実に仕留めたいのに、隣にいる大男が邪魔してターゲットが逃げてしまった困る。

隣の大男を見ると、それなりにやり手に見えるが、しかしこの男が確実にターゲットを仕留める保証はない。

私は迷った挙句に、大男の不意をついてわき腹に一発の銃弾を撃ち込んだ。

何口径というのか知らないが、私の銃は非常に小さな、細い弾丸が発射されるので、一撃で強烈なダメージを与えるわけではないようだ。

ちなみに、サイレンサー付きらしく、「パシュッ」という乾いた音が響いた。

大男が、信じられない、何故ここで撃たれるんだ?という顔で目を大きく開けてこちらを見た。

大男の目にはまだ生気が宿っている。反撃してくる、と思った。

私は、大男が動き出すより早く、躊躇なく大男の頭に銃口を向けて撃った。

側頭部に命中し、大男は立ったままエレベーターの壁に寄りかかるような形で絶命した。

しかし、殺してから私は思った。

この後が大変だと。

エレベーターの扉が開いて、もし人がいたら、一大事である。

ターゲットを殺すことなど不可能になってしまう。

というよりも、この大男を隠すことができない以上、ここは逃げて別の機会を伺うしか道はなさそうだ。

私はその男を殺せば良いのではなく、殺して逃げ失せなくてはならないのだから。

すると、エレベーターの扉が開いた。一瞬緊張したが、扉の目の前には誰もいない。

私はすかさず上の階へのボタンを押してからその階で降り、隣のエレベーターで地上階にまで逃げることにした。

その階にはかなり人がいて、私が乗ってきたエレベーターを誰も見なかったことを幸運に思った。

私はまたエレベーターに乗り込んで地上階に降り、そしてまんまと家まで逃げ帰ってきた。

そして、だ。

そこから、事態は急変する。

というより、設定が急変した。

私は大男を殺したのだが、実は殺し屋でも何でもなくて、ただの学生という設定になってしまったのである。

で、私は家で服を着替えながら、何故殺人を犯したのかと後悔した。

私には将来があって、親もそれなりに期待をして投資してきたのに、何故私はあんな大男を殺すなんて意味のない将来を棒に振るような行為をしたのだと、とても後悔した。

そして、私はその殺人を両親に告白して自首するか、非常に迷った。

私と殺された大男に関係はない。だからそうゆう線で捜査線上に浮上することはないだろう。

もしかしたらあの大男が殺し屋と分かって、警察は犯人探しに積極的にはならないかもしれない。

むしろ私は誰かを狙っていた殺し屋を殺したという陰のヒーローってことにならないだろうか。

しかし、問題は防犯カメラである。

もしかしたら、エレベーターや乗り降りをした階の映像が残っていて、私の顔がバッチリ映っている可能性は高い。

そうなると逃げ続けなきゃならない人生だ。

今のうちに自首するか、それとも防犯カメラなどなかった可能性にかけるか、それとも逃げ続けると覚悟してすぐに逃げるか。

確か、自首するというのは容疑者になってからでは認められないはずだ。

そうなると、防犯カメラがあれば容疑者となってるはずなので自首にはならない。

やっぱり防犯カメラの有無が問題だ。

というわけで、私は急遽、あのビルに防犯カメラがあったかなかったか、を見に行くことにしたのだ。

ポケットにはあの銃を忍ばせて、また私は家を出て、歩いていった。

その間に、犬を4匹連れた知り合いの女性に会ったり、街中で「片山右京が来てるぜ」という噂を耳にしたりしながらそのビルに向かって行く途中で、私は目覚めてしまった。





とても中途半端な場所で目覚めてしまった。

防犯カメラはあったのか、なかったのか。

そして私の決断や如何に。

続きをみたいような、みたくないような、そんな夢だった。

一つだけ言えるのは、人を殺した気分というのが、とても最悪だったということだ。

夢で本当に良かった。

殺した大男のことをかわいそうと思ったり恐くなったりという最悪ではなくて、私の場合は自分の将来、人生において自由を奪われる可能性があることに、とてつもない恐怖感と後悔を抱いた。

呆れる程の自己中心的な考え方だが、おそらく大男が私と無関係で知り合いでも何でもない殺し屋だったからであろう。

そしてもしかすると、私は無関係な悪い人間をもしも現実の世界で殺したとしたら、やはりこの夢と同じく、そういった類の後悔をすると思われる。

なんというか、殺した相手に対する同情とか恐怖を感じないような気がする。

そうゆう私自身の感情に対して、一抹の不安も感じてしまう。

嫌な夢であった。

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